自作レンズ Mellow55mm F2.2

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Mellow55mm F2.2 の概要

自作レンズ、Mellow55mm F2.2 はクローズアップレンズを利用した自作レンズです。
3Dプリンタにて製造したフレームに、クローズアップレンズを組み付けてミラーレス用レンズとして構成しています。

クローズアップレンズは、「単玉1枚、貼り合わせレンズ1枚」を1セット、前後対称に2セット配置した構成で利用し、「4群6枚」のダブルガウス型の構成です。
1897年頃に開発された、プラナー(Planar)と同じ構成をとることで、簡易的な仕組みながら実用的な描写を実現しています。

2023年12月に開発をした Mellow55mm では、絞りは簡易的な仕組みであり、口径が異なる部品を差し替えることで絞り変更を行っていました。2024年8月に開発を行った Mellow55mm F2.2 では、3Dプリントにて開発をした虹彩絞りを搭載し、一般的なレンズと同等に取り扱えるようになりました。

 

マウントは、Eマウント・マイクロフォーサーズマウントに概ね類似し、取り付けが可能な形状となっています。(正規品ではないため、互換性があるとの表記は行いません)

作例

SONY α7RⅢに装着して撮影。(1,2枚目はMellow55mm F2.2、3,4枚目はMellow55mm)

絞りはF4~F8程度で撮影をしています。絞ると外側も解像するようになるため、印象が大きく変わるレンズです。作例では一切補正を行っていませんが、歪曲も目立たず綺麗な線が出ているかと思います。中央に被写体を配置し、外側を意図的に流れるようにすることで印象的な写真を撮ることができます。

最短撮影距離はおおよそ40cm程度(センサー面からの距離)のため、近接撮影も楽しめます。

開発経緯

2019年6月に3Dプリンタ、Ender-3Xを購入した際に、ふと「レンズを作れるのでは?」と思ったのが出発点。当時のプリントでは印刷に多大な時間がかかることと、印刷精度が高くないことからマウント部品のプリントが不可能だろうと考え、断念していました。
2023年11月、Bambu Labの3Dプリンタ、P1Sを購入しこの前提が替わります。全自動でレベリングを行い高速印刷を行うこの機種を使うことで従来の課題を解決出来る。そう考え設計を行い、12月上旬に初期型のレンズを開発しました。これがMellow55mmです。

mellowとは、光が柔らかく、やさしく、心地いいという意味の言葉。敬愛する声優・歌手である田村ゆかりさんのオフィシャルファンクラブ MellowPretty の名前に由来し命名しました。
弊サークルのプロダクトは、全ての名称を田村ゆかりさんに由来する単語より命名しています。

コンセプトは、光学系は先例を踏襲し簡略化、構造を3Dプリントに最適化するというもの。
このため、レンズ群を全て搭載したユニットを作り、これをマウント側の筒に取り付けてユニットごとヘリコイドの動作で前後させる全群繰り出しでのピント合わせを採用しました。

この過程で、全群繰り出しにより自由なレンズ位置を実現し、さらにマウントが破損する前提で交換できるよう設計を行った結果、E・マイクロフォーサーズの2つのマウントで無限遠を結像できるレンズが完成しました。

その後、2024年7月に改良版として虹彩絞りを開発。これも3Dプリントに最適化するため従来の金属製虹彩絞りとは異なる形状をした羽根を設計し搭載。フィラメントの素材とシリコンスプレーの塗布により、一般的な絞りと相違のない滑らかな動作を実現。

この絞りユニットを従来の Mellow55mm に搭載したものが、Mellow55mm F2.2です。
実際には、F1.0での設計も可能ですが、最大径を従来のMellow55mmと統一し、小型で持ちやすい形状とする前提で設計を行い、F2.2の絞りを搭載しています。

なおガラス玉を全て個別に調達し、オリジナルのエレメントを構成することも可能ですが、55mm径のアクロマートレンズを調達するだけでもかなりの高額となるため、プロダクトとして現実的な着地点としてクローズアップレンズを採用し、ホビー用品として扱える水準を目指して現在の構成となっています。

構造および組立方法

レンズの各部は以下のように分かれています。

レンズユニットを、ネジを緩める方向の反時計回り(写真では上側)に回し全長を長くすることで近接側、時計回りに回し短くすることで無限遠側にピントが合います。上記写真の位置で概ね無限遠が出ます。ネジを締めすぎると破損するため注意が必要です。

絞りリングは90度まで可動。リングはネジで内蔵の虹彩絞りユニットと接続されています。
軽い力で最大まで絞ると概ねF16程度、そこから力を入れるとF22程度まで絞ることが出来ます。
力を入れて絞っている状態では、プラスチック素材のしなりを利用して絞り込みを行っている状態のため、長時間この状態を維持すると破損の原因になりますので注意が必要です。(試写において壊れた例はまだないため、実際には概ね問題はないと考えていますが)

レンズユニットはレンズ基部とネジ構造で接続されているだけのため、ネジを緩めきると分離します。最短撮影距離の40cmを越えても分離はしませんが、慣れないうちは注意が必要です。

レンズを分解する際は、はじめに絞りリングを止めているネジを外します。
次に、レンズ前面にある、レンズ止めを外します。これはネジ構造で止めているため、突起を引っかけて回すことで簡単に外すことが出来ます。

レンズ止めを外すと中のユニットを取り出せます。
内部はレンズ群、レンズ受け、絞りユニットの3種のユニットで構成されています。
レンズは、”Kenko ACクローズアップレンズ No.5 55mm”と”MARUMI カメラ用フィルター クローズアップレンズ MC+4 55mm”の2種を2枚ずつ搭載します。

MARUMIのレンズをKenkoの外側に取り付け、そのセットをレンズ受けに取り付け、前後対称となる形で絞りユニットを挟みます。これら一式を3Dプリント製の筒に内蔵することでレンズユニットとして完成します。

内蔵した後に外側から絞りリングをネジ止めすることでレンズが完成します。

写真で油染みに見えるものは、塗布したシリコン潤滑剤です。ユニットが取り付けづらい場合は、ホームセンターなどで販売している同等品を塗布してください。なお金属用の溶剤が入った潤滑剤(556的なもの)は絶対に使わないよう注意してください。

購入・問い合わせ

弊サークルのBOOTHにて購入することが出来ます。レンズ調達の関係から原則受注生産の形となるため、最短でも発送まで1週間程度かかりますのでご了承ください。

また、弊サークルの主な活動は「写真集の作成」です。BOOTHでは写真集も頒布していますので、ぜひご覧ください。シネマスコープのアスペクト比で街を撮影した、他に類を見ない写真集のシリーズがおすすめです。

問い合わせはTwitter(X) @karin_terah やBOOTHのメッセージにてご連絡ください。

以上、自作レンズ Mellow55mm F2.2 の解説でした!

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